




掟ポルシェ:「(唐揚を口いっぱいに頬張りながら、いきなりブチギレ戦闘モードで)なんじゃこりゃああああ!!! オレを差し置いて"唐揚検定"だって?、"認定カラアゲニスト"って、なに!? 誰に断ってそんなことやってんの!? 唐揚といったらまずオレでしょ!? ふざけんじゃねーよ!」
── 掟さんがミュージシャンの中で一番の唐揚好きという情報を耳にして、今回は「唐揚が一番好きで唐揚を食べると幸せになれる人たちによって組織された団体」日本唐揚協会なる謎の組織に潜入という流れなんですけど……。
掟ポルシェ:「当たり前だっつの!! オレはここ日本で、ミュージシャンを生業としている人間の中で一番唐揚が好きなんだっつの! オレが死んだら唐揚にされたいぐらいだっつの! それが、なんだ、勝手に唐揚検定だとか、それに合格したら認定書が授与されるとか、まったく納得がいかないんだっっっっつの!!!(怒)」
── でも、同じ唐揚好きな人がやってるわけですから、ちょっと行ってみましょうよ。すいませーん!
八木:「(とびきり人の良さそうな笑顔で)お待ちしておりました、私は日本唐揚協会の専務理事をやっております八木と申します」
掟ポルシェ:「せんむりじぃ? あんたレベルじゃ話にならん! もっと上の人間を出したらどうなんだ! 協会って言ってるんだったら、会長とか理事長とかいるだろ!!」
── えーっと、八木さんのまだ上に、他の唐揚好きがいらっしゃるんですか?
八木:「たしかに、会長や理事長は他におりますけど……」
掟ポルシェ:「じゃあ出せ! まだ上に黒幕がいるんだろうが!」
八木:「えー、正直申し上げますと、黒幕は私です」
掟ポルシェ:「(鳩が豆鉄砲を食らったような顔で)え!? あ、そうなんですか?」
八木:「そうですね、私が基本的に名称から何から、協会のプロデュースをしておりますね、はい(ニッコリ)」
── では、もういっちゃいましょう。今回はサブカル界ならびに、ミュージシャン界隈で自身が一番の唐揚好きであると豪語されている掟ポルシェさんがですね「オレのいないところで勝手に唐揚検定をやっている不届き者がいる!」と、ぶっちゃけ「日本唐揚協会ってなんなんだ!?」というクレーム&疑問をぶつけにきたというわけなんですけど。
掟ポルシェ:「おい! 日本唐揚協会ってなんなんだ!?」
── 「いまボクがいったこと大声でもう一度繰り返しただけじゃないですか(笑)」
八木:「アハハハ、わかりました。お答えしますので、どうぞおかけになってください」
掟ポルシェ:「あ、はい~(あまりの物腰柔らかい対応に素直になって)」
八木:「ところで、みなさんおタバコは吸われますか? 灰皿出しますけど」
掟ポルシェ:「タバコは吸わないです! 吸うのは唐揚から出た肉汁だけと決めてるんで! あと、おっぱいもよく吸います!」
── アハハハハ!
掟ポルシェ:「じゃあもういきなり聞きますけど、日本唐揚協会ってこれね、なんで作ったんですか?」
八木:「これはですね、会長や私が唐揚が好きで、週に7回は唐揚を食べるということで」
掟ポルシェ:「エッ、週7!?」
八木:「多いときには1日3回の食事全てが唐揚という日も珍しくなくて」
掟ポルシェ:「い、1日3回で週7ですか……。も、もちろんオレもそんなときもありますよ、ありますってば!」
八木:「はい(微笑)。なので、だからもうホントに何種類にも及ぶ唐揚を毎週食べ続けていたわけですよ。で、そんな中でふと、唐揚が大好きなんだけど最近思うところがあると感じ始めて、唐揚って食卓や居酒屋のテーブルに並ぶと何かこう幸せになるというか、笑顔がその場に溢れるじゃないですか。なので、これはもしかして、唐揚を世界に広めることができれば、世界の平和に繋がるんじゃないかと」
掟ポルシェ:「唐揚で世界平和! いいですね! 唐揚が人を不幸にするわけがない!」
八木:「その場が笑顔に包まれるのは、常に唐揚があってこそ成り立っているんじゃないかって思うんですよね」
掟ポルシェ:「うーん、説得力ありますね。で、日本唐揚協会の設立になるわけですか。というか、聞きにくいことですけど……この協会は営利団体?」
八木:「非営利団体です(断言)でもまぁボランティアってわけでもないんですけど、一応活動資金はですね、唐揚に関連するメーカーさんなどから頂いてはいるんですけど」
掟ポルシェ:「じゃあ営利団体じゃないか! 基本は世界平和にあるんじゃないのか!! やっぱりあんた等けしからん!!!」
八木:「いやいやいや、まったくの非営利団体ですよ。唐揚の啓蒙活動とか普及活動に力を入れて、基本はあくまで世界平和です。なんていうんでしょう、お金儲けのためだったらもっとたぶん違う運営になりますからね」
掟ポルシェ:「世界中の人々を笑顔にするためであって、世界中の人々から唐揚でもってお金を巻き上げるためではない?」
八木:「まさしくその通りです」
掟ポルシェ:「……素晴らしい団体じゃないですか(ニコニコ顔で)」

── え、えぇー!? いきなり肯定ですか?
八木:「(たたみかけるように)あとですね、日本はこれから人も減って、働く人も減って、経済が頭打ちになるのは目に見えてるじゃないですか。どうにもこうにもこの頭打ちな世の中で、外需っていうか、外国に出て行ける日本の食文化を見直したときに、やっぱり唐揚って勝負し甲斐があると思いませんか?」
掟ポルシェ:「その通り! ローマ字で『Sushi』『Tempra』の次には『Karaage』が来るべきです!」
八木:「その通りです。私はこの先ですね、唐揚を外国に持って行きたいなっていうのが当面の目標なんです。外貨獲得の手段として真剣に考えてますね」
掟ポルシェ:「でも、あのー、海外にも唐揚っぽいものってありますよね?」
八木:「うーん、まぁいろいろ決めごともありましてですね、例えばフライドチキンという……」
掟ポルシェ:「あぁ、●ンタッキーなんちゃらチキン?」
八木:「あれも一応別物と考えています。『おかずとしての唐揚』みたいなのは世界ではあまりないですよね。中華料理でも甘酢かけちゃったりだとか、結局何か上からかけちゃったり、漬けちゃったりしちゃうんで。アレンジが加わりすぎて違う物という認識です」
掟ポルシェ:「世界に打って出る以上、自分の国の物がナンバー1・元祖だと自称することがまず重要ですからね。テコンドーでもなく散打でもなく、空手だみたいな」
八木:「は、はい(ニッコリ)」
掟ポルシェ:「いや、あのぉ……、これ、唐揚の"カラ"と空手の"カラ"かかってんのわかりました?(ちょっとしたことですぐドヤ顔)」
八木:「(何事もなかったように)……意外と食文化って海外に知られてないみたいなんですよ。ホントに寿司と天ぷらくらいなんですよ」
掟ポルシェ:「ホントにそうみたいですね。最近だと、メタルの神様、いや、悪魔様・オジー・オズボーンが来日しまして、日本のカレーの素晴らしさについてずっと語ってたらしいんですよ」
八木:「え、えぇ(きょとんとして)」
── や、八木さん、オジーはヘヴィメタル界で伝説の人です。
掟ポルシェ:「オジーがですね『なんで日本にはこんな美味いものがあるのに黙ってたんだ!』、『海外のカレーはこんなに美味くないぞ』って言ってたんですよ。で、現在一日三食日本風のカレーを食べてるらしいんです。でね、多分オジーはまだ日本の唐揚のことは知らないと思うんですよね」
八木:「多分、ご存じないでしょうねぇ……」
掟ポルシェ:「もしオジーが唐揚を知ったら? 答えはYES! カレーをやめて三食唐揚でご飯を食べるに決まってます! 教えてあげましょう、いますぐ!」
八木:「そうですね」
掟ポルシェ:「じゃあオレがオジーに電話して日本の唐揚について言っておきますんで!」
八木:「ホントですか! それは協会としてはホントに嬉しいことですよ。ありがとうございます、心から感謝します(満面の笑みで)」
掟ポルシェ:「任せてください! まぁ問題がひとつあって、俺、オジーの電話番号知らないんですけどね。(編集担当者に向かって)知らない、オジーの携番?」
── えー……次の話題にいきましょうか(笑)。

掟ポルシェ:「ですよね! じゃあ八木さん、この日本唐揚協会は設立してどのくらいになるんですか?」
八木:「一応2008年の10月に立ち上げて、去年の2009年7月にウェブサイトを作って、今に至るって感じですね」
掟ポルシェ:「唐揚啓蒙活動をはじめてまだ二年なんですね。メディアなどへの露出は?」
八木:「今年だけでテレビにも約35回ほど出ています。設立時に比べれば浸透してきたかなぁとは思いますね。ゼロベースから唐揚ブームみたいなものは作れているかなと」
掟ポルシェ:「いや、唐揚が日本の食卓に並ぶ回数がここ2年で飛躍的に増えましたもんね(根拠なく)。これもきっと日本唐揚協会の影の力があるんでしょう。ただ、唐揚はやはりお弁当だとかの印象が強くて、唐揚だけのお店となると、まだまだ少ないのが現状ですか?」
八木:「そうですね。でも、東京でもチラホラと唐揚の専門店も出来始めてますけど、聖地はスゴいですよ」
掟ポルシェ:「唐揚の聖地?」
八木:「はい。大分県の中津市という街が唐揚の聖地とされていて、市内に60店以上の唐揚専門店がある街なんです」
掟ポルシェ:「おお、なんて夢のある街なんだ! そんな素晴らしい唐揚タウンがあったなんて! よし、これからちょっくら中津に引っ越してきます!」
八木:「アハハハハ! もうそこはそこらじゅうに唐揚屋さんがあるんですよ。ちなみに、中津市の隣に宇佐市っていう、宇佐神宮とかがある街があるんですけど、そこは40店以上専門店があるんです、両市で足してざっと100店以上」
掟ポルシェ:「唐揚専門店を掲げているお店がそんなに! 専門店って、唐揚とご飯だけしか置いてない?」
八木:「そうですね。むしろ唐揚しか売ってないところのほうが多いかもですね」
掟ポルシェ:「じゃあその周辺にお住まいの皆さんは、やはり朝シャン感覚で朝カラとか食って出勤されてるんですかね」
── アハハハハ!(一同笑)
掟ポルシェ:「中津の唐揚ってのはどのくらい歴史があるんでしょうか?」
八木:「戦後、国の政策で養鶏場がバンバンそこらへんの地域に建てられたそうでして、鶏肉をどうやって美味しく食べようかっていうのを街ぐるみで研究したそうなんですよ。なので歴史が長いところだとほんとに50~60年前からとか、そういう歴史背景は確認しております」
掟ポルシェ:「50~60年ですか! 宇都宮餃子が20年ほどの歴史ですからそれに比べても十分な歴史がありますね」
八木:「東京の唐揚専門店もなかなか歴史がありますよ。例えば立石にある『鳥房』なんかは創業60何年とかですし、自由が丘にある『とよ田』なんかは37~8年くらいじゃなかったかな」
掟ポルシェ:「スゴいですね! 唐揚ってほとんどは家で作ったり、お弁当で食べたりしているものなんで、なかなか専門店まで行く機会がないんですけど、専門店の唐揚ってそんなに"違い"ますか?」
八木:「全然違いますね。鶏肉をタレに漬け込む時間も、例えば一週間以上寝かせているとかありますから。あとはやはり唐揚専門店となると、唐揚しか揚げないわけですから、お店の全てが唐揚だけのためにあるわけですよ。なので居酒屋さんとかが同じことをしようとしても、それは無理な話なんです。掟さんは唐揚がサブカル界で一番好きだとおっしゃってますけど、どこか贔屓にしている専門店はあるんですか?」
掟ポルシェ:「え!?(数秒絶句)オ、オリジン弁当とか、いや、……」
八木:「お住まいは東京ですよね? だとすれば学芸大学の商店街に『もり山』という塩ダレベースの唐揚専門店がありまして、自由が丘の『とよ田』の2軒をハシゴするというのがゴールデンコースでしょうね(ニッコリ)」
掟ポルシェ:「この2軒をハシゴすれば、唐揚の初歩がわかる?」
八木:「初歩どころか、唐揚では最高のランクがわかりますよ!」
掟ポルシェ:「最高ランクが東横線内最寄り駅ふたつくらいで味わえてしまうんですね! 素晴らしい! やはり東横線と言えば昔から唐揚って言いますもんね~」
八木:「そうですね(笑)ちなみに、この『とよ田』っていうお店は唐揚割烹のお店なんですよ」
掟ポルシェ:「唐揚割烹!? 唐揚ってやっぱり家庭の味的なイメージですけど、そこに割烹っていう高級感がまた、想像がつかないですけど。いや、なんだかグッときます!」
八木:「もうね、唐揚はおかずじゃないんですよ(サラリと)ここのお店は唐揚をコースで出すんですよ」
掟ポルシェ:「コースの唐揚しかない!? 前菜からメインまで脂っこい揚げ物がずっと出てくるんですか!」
八木:「そうです(キッパリ)」
掟ポルシェ:「唐揚ずっと……、それ、飽きないですか(うっかり唐揚好きらしくない発言)」
八木:「多分また行きたくなると思いますね。そんなにもたれたりもしないですよ。やっぱり油とか衣とか揚げ方がちょっと専門店は違うんで、毎日食べたくなるんですよね、あっさりしてて」
掟ポルシェ:「これは危険ですよ……。近辺に引っ越すとちょっと動けなくなりますね。東横線沿線の方で、唐揚が要因でそこから離れられないという人もかなりいそうです! で、お値段のほうは?」
八木:「店内のメニューには料金は書かれてないですね」
掟ポルシェ:「こ、怖!」
八木:「でも、ひとり3000円もいかないですよ。そのあたりが唐揚の最高ランクになりますね」

掟ポルシェ:「そもそも唐揚の厳密な定義ってあるんですか? なんていうんですかね、どこからどこまでが唐揚なのかとか、例えば先ほども名前が出た●ンタッキーのなんとかチキンなんてのはどうなるのかとか」
八木:「●ンタッキーのフライドチキンは、あれはもう"そのもの"がジャンルという形でやられてるので、私たちが定めている唐揚の枠には入れてないんですよ。あれはもう別モノですっていう感じですね」
掟ポルシェ:「独立ジャンルみたいな?」
八木:「私たちは『外資系チキン』って呼んでますね」
── アハハハハ!(一同笑)
掟ポルシェ:「今、ここ日本では外資系チキンとの唐揚のチキン戦争が勃発しているというわけですね(笑)」
八木:「それが本当に起きているんですよ」
掟ポルシェ:「お、起きてるんですか!」
八木:「マク●ナルドがチキン4連発新商品出しましたよね、これは●ンタッキーへの対抗戦略なんですよ。●ンタッキーも今年はフライドではなくローストチキンを出されたりとかして、フライドチキンが日本に渡って40周年でフライドからローストへ移行するというチキン歴史の変革期を迎えてるんですよ。この前もTBSの昼帯の枠で、●ンタッキーフライドチキンとマク●ナルドと日本の唐揚の戦いっていう図式をやってましたね。我々はもうチキンじゃなく鶏の唐揚っていう(笑)」
掟ポルシェ:「『仁義なき戦い』みたいな感じで熱いですね! 唐揚も、味という点において外資系チキンには絶対に負けないと」
八木:「その通りですね」
掟ポルシェ:「日本の唐揚にはバリエーションもありますし、そういう意味ではもう毎日食べても飽きない。逆に外資系チキンを毎日っていうのは無理!(またしても根拠なし)ちなみに、チキン南蛮も唐揚ですか?」
八木:「入ります。チキン南蛮も唐揚ですね。あれはタレがかかってますけどベースは唐揚なんで、唐揚のち南蛮ですね」
掟ポルシェ:「唐揚のち南蛮! 天気予報みたい! ではチキンカツなどは?」
八木:「あれはパン粉を使用するのでカツですね」
掟ポルシェ:「ですよね~。あれはカツですよ」
── また当たり前のこと大きな声で復唱しましたね(笑)。
掟ポルシェ:「大事なことだから2回言うの! ということは天ぷらなんかも?」
八木:「天ぷらはその名の通り天ぷらですね」
掟ポルシェ:「そうです! あれは別物!(わかりきったことをまた大声で)。唐揚の形でまず作られ、そこからいろんなトッピングで変化をつけたものは唐揚として認定すると」
八木:「そうです。もうジャンルは唐揚の枠なんですよね」
掟ポルシェ:「では、中身が鶏じゃないものは?」
八木:「もちろんそれも唐揚です。例えば、北海道だとタコの唐揚をザンギと呼んだりとか、あとサンマのザンギとか。基本的にシーフードは唐揚に合いますね。ホタテの唐揚とか、居酒屋さんなんかによくありますよね。なので、鶏だけじゃなくて野菜なんかもそうですし、あとこんにゃくの唐揚なんかもありますし、豆腐の唐揚とか」
掟ポルシェ:「……それは通常、『油揚げ』と言うのでは?」
八木:「とは、ちょっと違いますね。さらに揚げ出し豆腐みたいなのともまたちょっと違います。美味しいですよ!」
掟ポルシェ:「気になりますねぇ。豆腐の唐揚……」
「カラアゲニストたちの叫びを聞け、悪しき唐揚はこの世から去れ!」ヘ続く


PROFILE
掟ポルシェ Okite Porsche