

著作権ってなに? 著作権は文明の発達のために重要な役割を担っていたり、思いもよらないような仕組みがあったりするのだ。さらには日常生活を送るうち、知らず知らずのうちにはまり込んでしまうかもしれない意外なトラブルも……。今回の○○を斬る! は身近なようで身近じゃない言葉、著作権をレポート!
まず著作権とはなんだろう。遊園地の人気マスコットキャラクターを勝手に流用し、訴えられた、というような穏やかではない話もあるが、著作権が守るものは「これ」である、と即答できる人は少ないはずだ。著作権法の第二条ではこう定義してある。
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
まず著作権が発生するのは、著作者が作品を発表したその時からだ。役所に申請する必要はなく、自動的に発生する。作者が生存中は作者が著作権を持ち、作者が亡くなった場合、それから50年間は作者の遺族が著作権を持つことになる。ただし映画だけは公表後70年となっており、著作権は映画制作者(多くの場合、映画会社)が持つ。
次に著作権が適応されるのものは何かを見ていこう。
これらを不法に引用したりコピーしたりすると著作権法違反になるわけだ。こうしてみると世の中のほとんど全てのものが著作権で保護されているのがわかる。逆に保護されていないものは何だろうか。例えば法律は著作物だろうか。先ほどこの記事の上部で「著作権法第二条」を引用したが、これは著作権法違反になるのだろうか。正解は「ならない」。著作権法では「法令や官庁が出す通達などには著作権がない」と定めている。それらは社会的なルールを定めるものなので、無断で使用しても誰も不利益を被らないからだ。他に著作権が定められていないものには「アイデア」、「学説」、「事実(トリビア)」、一部例外があるが「標語」などとなっている。
著作権保護期間を延長しようという動きがある。著作者の死後50年間発生する著作権保護期間を70年間にしようというのだ。これにはどういう意味があるのだろう。
まず著作権が切れた場合なにが起きるのかを知っておこう。著作権が切れた作品は公共の財産となる。作者は作品を発表後、作品の売れ行きに応じて印税をもらうことになっているが、これがなくなる。では印税はどこにいくのかというと、発生しなくなるのだ。著作権が切れた作品を閲覧できるサイト「青空文庫」などで多くの人が目にしたり、引用したり、廉価版としては販売したりするのも自由になる。よく500円で販売されているアメリカの古い映画DVDを見たことがある人も多いはずだ。
著作権の保護期間に賛成する人々の意見は「保護延長が、創作者にとって新たな創造の意欲を高める」「著作者の家族に富を残す」「著作権は創作性を保護するものであり、模倣や真似を保護するものではない」などだ。一方反対派の意見では「すでに死後50年後まで守られているものをさらに延ばしても、著作者のその後の創造の意欲は高まらない」「作品を長く残したいのであれば、流通の阻害となる著作権は短い方が良い」「古い作品は新しい創造の源泉であり、未来の創作者のために広く公開されるべき」などだ。
また世界の事情に目を向けると、70年が基準になっている。この点でも延長賛成派は「足並みを揃えるべき」と主張し、反対派は「ベルヌ条約で死後70年に延ばしたのは加盟国の3分の1のみ」として、さらにアメリカも死後70年ではない、と反論している。ベルヌ条約とは文学的及び美術的著作物の保護に関する国際的な条約だ。
おそらく著作権をもたない一般人から見れば、双方の言い分はともに納得できる内容のはずだ。著作物は全ての人の人生の喜びの源泉。先行きは見えないが、実りある議論を期待したい。
著作権はいろいろな権利や仕組みが入り組んでいるため、罰則もひとくくりに言えません。例えば、動画サイトを例に申し上げますと、動画サイトに著作権で守られた動画をアップロードするのと、視聴するだけでは、罰則の内容も異なります。
違法動画と知りながらアップロードした場合、刑事罰が適応されます。有罪が確定した場合、、「懲役10年以下、または1000万円以下の罰金、もしくはその両方」になります。アップロードの場合も、ダウンロードの場合も、著作権者の訴えがあった場合、賠償などの民事責任が発生します。大切なのは「著作権者の訴え」が必要なことです。著作権侵害は告訴がなければ公訴できない「親告罪」なのです。
著作権は付随する様々な権利があります。著作権自体は作者の権利を保護するためのものですが、それ以外に、作品の流通や文化への貢献を保護するために、著作隣接権や著作人格権などもあります。例えば、1800年代に作られたクラシック音楽は、作者が死亡して50年以上経っているものが多くあり、それ自体には著作権がありません。しかしレコード会社が作成して売っているCDを無断でコピーした場合には、著作隣接権の侵害になります。
近年顕著になっているのは、インターネット上の著作権侵害です。動画共有サイトをめぐる著作権侵害動画、侵害音楽。携帯用ゲーム機におけるマジコン問題。ファイル共有ソフトによる著作権で保護されたデータのやりとり。ネットオークションでの偽ブランドの販売など、ネットを中心とした著作権侵害をあげるだけでも無数にあります。その他の著作権侵害としては、著作物を無断で公に放送したり上映したり上演したりすること、写真や絵画などの著作物を無断で展示すること、著作物をコピーし無断で販売、レンタル、譲渡すること。特徴的な事例では差出人が亡くなった後にその遺族に無断で手紙を公開したり、著作権を著作権者から譲り受けた作品を無断で改変したりした場合も著作人格権の侵害になります。
インターネットでは著作権者とプロバイダーが協力して、著作権侵害の対策に乗り出しています。一部の動画共有サイトは著作権侵害動画を発見した場合、自主的に削除する取り組みを行っています。課題は、この運動がプロバイダー全体に広がっていないことです。ネットオークションでも、自主的にプロバイダーが著作権を侵害している出品を告知するページは削除しています。確認にはブランドメーカーと協力している場合もあります。さらには違反者にはオークションを利用するためのIDを削除するなどの対策もとっています。
問題はファイル共有ソフトです。ファイル共有ソフトは、個人と個人の間をデータが行き交うため、動画共有サイトなどと違って、著作権侵害データの取引が外部からわかりづらいという特徴があります。Winnyの場合は、権利者とプロバイダーが協力して、データを流したとおぼしきユーザーに警告メールを送るなどの対策をとっていますが、最近はより追跡が困難なファイル共有ソフトが出現し、対策が追いつかなくなっている一面もあります。

