

日本という国は、莫大な借金を抱えているという話をよく耳にするけど大丈夫なの? 普通に考えたら、借金が増えれば増えるほど、自転車操業になって、結局は自己破産という道しか残されてないはず。しかもギリシャが破綻したというニュースも記憶に新しい。それでも日本は毎年、大量の借金=国債を発行している。赤字の財政を借金で穴埋めするなんて、自殺行為に思えてくるんだけど、ホントのところはどうなんだろう?


国債をひとことで表すと、「国の借金」だ。国を運営していくには予算が必要になる。それは、我々が日々の生活を送るためにお金が必要なのと同様だ。国の収入というのは、ほとんどが税金。ところが、税金収入だけでは国の運営に必要な予算が捻出できないのが現実。そこで、足りない分を埋めるために国債を発行=借金をするという流れになる。2010年度、日本の予算はおよそ92兆円に設定された。ところが、税金の収入はおよそ37兆円程度しかない。その他の収入(国による投資の運用益など)を加えても全体の48%、44兆円程度が足りないのである。つまり1年の間に、これだけの国債が発行されているわけだ。もちろん、すぐに返せば問題はないが、毎年のように支出が収入を上回っている状態。積もり積もった国債の総額は、今年度末におよそ862兆円にのぼるといわれている。日本という国は、これほどまでに莫大な借金を抱えているのである!

国の歳出と歳入を比較するとこうなる。歳出の予算92兆円超に対し、税収ではその40%程度の37兆円程度しかまかなえない。結果、48%にものぼる44兆円を国債で補っているという状況だ。


では、これだけ莫大な借金を抱えている日本は大丈夫なのか。借金増加の経緯を見ていこう。1960年代、日本は歳出と歳入のバランスがほぼ均等だった。ところが1970年代に起こったオイルショックによって、バランスが崩れてしまう。歳出が大きく上回り、穴埋めが必要になった。そこで特例法を制定し、国債を発行するようになったのである。いわゆる「特例国債=赤字国債」と呼ばれるものだ。以来、日本は赤字国債の借金を返却するために、赤字国債を発行するという矛盾に陥ることになる。さらにバブルの崩壊を機に、一気に赤字国債が増加することになった。バブル絶頂だった1990年を境に、税収は下がる一方、反比例するように歳出は増える一方となり、現在まで続いているというわけだ。最大の問題がどこにあるかといえば、歳出と歳入のギャップだろう。このギャップを埋めないことには、ギリシャのような財政危機を迎えてもおかしくないといえる。とはいえ、ギリシャと日本には大きな違いがある。それは、日本にはまだ歳入を増やす余地が残されているという部分。その筆頭となるのが消費税だ。日本の消費税は、ヨーロッパの国々に比べて非常に安い。そういったことが評価され、日本国債の信用が下がらないという背景もある。ギリシャの経済危機は財政赤字が深刻化することで、投資家がギリシャ国債を買わなくなった。そのため、ギリシャは利率を上げ、何とか買ってもらおうとした。その利率に苦しめられる形で起こったというのがひとつの側面。日本の場合、国債の信用が落ちていない。それは強みのひとつでもあるのだ。



「特例国債」がいわゆる「赤字国債」と呼ばれるもの。バブル崩壊後、飛躍的に発行数が増加しているのがわかる。


日本国債の信用度がまだまだ高いとはいえ、このままのペースで国債を発行し続ければいつかは返済不能に陥ってしまう。日本の現在の状況をカンタンにいえば、さまざまな金融機関からお金を借りている多重債務状態。借金を返すために新たな借金をしているという状況に変わりはない。企業がそのような状況になれば倒産、個人なら債務整理や自己破産という道を選ぶことになる。国を個人に置き換えて考えてみよう。多重債務状態に陥ってしまうと、借金返済におわれるようになり、生活費が足りなくなる。そうすると子どもへの教育費や親への資金援助も困難になる。さらに家具や家電、クルマやバイクといったものにもお金をかけられない。結果、さらなる借金の増加につながってしまうのだ。国の借金もそれほど大きな違いはない。もしもこのまま借金が増え続けると、教育や福祉に使える予算が少なくなる。さらに下水道や道路といったインフラ整備もできなくなる。借金は税金で返さなければならないため、税金は上昇していく。本来、税金は我々の生活をよくするために払うもの。それが借金を返済するため、という形に変化していくのである。国債発行の増加は、国民の生活に大きな影響を与えるということだけは忘れてはならないだろう。





現在の状況をカンタンにいうと、歳出に対して歳入が圧倒的に足りていないということです。足りない部分を補うために国債を発行するわけですね。近年、特に少子高齢化の影響から社会保障費などの歳出が年々、大きくなっています。対して歳入のほうは、景気が低迷していることもあり、年々減少しています。歳出が大きくなるのに、歳入が少なくなっているため、国債の発行額も年々増えているという状況なんです。大切なのは、これらをどのように返済していくかということですが、現状では60年かけて返済するという計画で動いています。5年満期のものや10年満期のものなどさまざまな国債が発行されていますが、これらの国債が満期を迎えた際に、新たに「借換債」と呼ばれる国債を発行します。全体の額面を小さくすることで、少しずつ返済するという形に持っていく。これを繰り返すことで、60年で0にするという計画ですね。

結論から言えば、借金による経済危機といった脅威はしばらくは起こりません。理由として、3つのことがあげられます。ひとつ目は、日本の場合、経常収支で黒字が続いていること。経常収支というものをカンタンに説明しますと、海外に対してのさまざまな取引の中で、輸入よりも輸出が多く、支払よりも受け取りの額が大きかったということ。日本はそういった面で利益を上げています。ふたつ目が国民の金融資産が、概算で1450兆円あり、国債発行額を大きく上回っていること。最後に、増税の余地があるということです。これらのことが重なり、国債に対する信用度は諸外国に比べて非常に高いんですよね。それに加えて、日本国債はほとんどが国内で保有されています。そのためカンタンに投げ売ることもありませんし、利率を上げて購入者を募る必要もありません。そういった観点から日本国債は、非常に安定していると考えられています。

国債にはふたつの側面があります。ひとつは財政の面から見た国債。財政的には「こんなに借金して大丈夫なの?」と感じるのは当然です。でも、国債には金融商品としての性格もあります。金融商品は購入した人に利益をもたらさなければなりませんから「その商品を運用するための資金があるのか」が重視されます。幸いにして、今の日本はまだ均衡が取れています。ただ、限界点は確実に存在します。国債がどんどん発行されれば、もしかすると限界点を突破してギリシャみたいなことが起こるかもしれません。だからこそ、中長期的な視点で国の財政を考え、しっかりとした基盤と財政規律を構築しなければいけないんです。国債を償却するために使われるのは税金ですから、国債発行の負担は次代に残すということにつながります。それを軽減するためにも、しっかりと考えていく必要があると思います。